ショウゲツ

優しい色合いの八重桜

特徴

八重桜の中でも花が大輪で色合いも優美でということで人気のある品種です。
めしべは普通1本または2本で下半分が葉に変化しギザギザが出ます。
花が咲き揃ったころ黄緑色の若葉が伸び始めます。

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

大木になると傘型で枝が横に広がります。

  • 枝が横に広がる傘型樹形
    写真 / 2023.4.11 千葉県21世紀の森と広場 MayaN

成葉は長さ7~15cmほどになり、 幅は4~7cmです。 先端は細長く糸状になります。

  • 先端は徐々に細長くなる
    写真 / 石井誠治

  • 両面とも毛が無い
    写真 / 石井誠治

優美な色合いの花びらは21枚から26枚。
外側が丸く内側は白色で細かく切れ込みが入ります。
めしべは1本か2本あり、 下半分が葉化しギザギザが出ます。

  • ケーキのクリームを思わせるような明るい色合いの花
    写真 / 2023.4.11 千葉県21世紀の森と広場 MayaN

  • めしべは1本か2本。 下半分が葉化しギザギザが出ます。
    写真 / 2023.4.11 千葉県21世紀の森と広場 MayaN

  • 蕾の方が濃いピンク色なので、 咲き始めもまた華やか。
    写真 / 石井誠治

  • 萼片は幅広くギザギザがある。 萼筒はろうと型で無毛。 凹凸が目立つ。 苞はくさび形で黄緑色。 ギザギザが深い
    写真 / 2023.4.11 千葉県21世紀の森と広場 MayaN

めしべは下部が葉化し、 子房が退化しているため実はなりません。

幹・枝

灰褐色で横長の皮目が目立ちます。

  • 横長の皮目が目立つ
    写真 / 2023.4.11 千葉県21世紀の森と広場 MayaN

冬芽・葉痕

褐色で少し光沢があり、 少しだけ開き気味の芽鱗には毛がありません。 葉痕の維管束痕は3つでお顔に見えます。

  • 少し光沢のある芽
    写真 / 2021.12.23 東京都新宿区 Tamacha

  • 葉芽はとがり、 花芽は少しぷっくりしている
    写真 / 2021.12.23 東京都新宿区 Tamacha

人との関わり

ショウゲツは実がならず増やすには人が接ぎ木で苗木を作ります。 ヤエザクラの中で最も優美な花が咲く品種のひとつです。

  • 江戸時代以前からある園芸品種
    写真 / 2023.4.11 千葉県21世紀の森と広場 MayaN

名前の由来

ショウゲツの漢字表記は松月と書きます。 なぜ松月と書くようになったのか、 理由がはっきりしません。 江戸以前から栽培品種として接ぎ木苗で増やされてきたので、 古くからショウゲツといわれていたようです。

  • 名前の由来は謎の八重桜
    写真 / 2023.4.11 千葉県21世紀の森と広場 MayaN

その他の情報

<ルーツ、 似た品種について>
サトザクラの中でショウゲツはイチヨウとフゲンゾウに近いと思われるオオシマザクラ系のサクラです。 明治時代に荒川堤で栽培の記録がありますが原木がどこにあったかは知られていません。

  • イチヨウの花。 下部が葉化しためしべが1本。 萼片にギザギザは無い
    写真 / 2021.3.30 東京都上野恩賜公園 MasakoT

  • フゲンゾウの花。 蕾は暗さを感じるピンク色。 葉化しためしべは2本。 萼片は長く先端は鋭い。 若葉は茶色
    写真 / 北海道松前 石井誠治

  • オオシマザクラの花
    写真 / 2022.4.7 茨城県筑波実験植物園 htanaka

性格

大変花付が良い桜です。

  • たくさん咲く花が愛でられてきた
    写真 / 石井誠治

体験・遊び

めしべが一本の花と二本の花を探しましょう!そして選んだ花の花びらの枚数を数えてみよう。 花びらが多い方が“勝ち”とするゲームも楽しいですよ。

  • めしべや花びらを見比べて花の構造をよく観察しよう
    写真 / 石井誠治

見られる場所

執筆協力 : 石井誠治